22 : ◯43番(大井としひろ君)

◯43番(大井としひろ君) ただいま議題となりました平成27年度神戸市各会計予算及び関連議案,合計60議案について,委員会審査の経過並びに結果について,御報告申し上げます。
 平成27年度予算は,久元市長が就任から2年目の予算として,1年間の市政運営を踏まえ,そして阪神・淡路大震災から20年を迎える節目に当たって編成されたものであり,神戸市行財政改革2015の完遂に向けて積極的に事務事業を見直すとともに,人口減少社会への対応を初め,居住環境や操業環境を向上させる施策をバランスよくスピーディーに進め,安定した成長のための都心の再生や交通インフラの整備,医療産業都市のプロジェクトの推進に重点的に取り組んでいくとされております。
 また,私たちのまち神戸を安定した成長軌道に乗せていくためには,まちの魅力と活力をさらに高めることにより,すぐれた人材が神戸に集まり,人材の集積が創造的な仕事を生み,人材を引きつけるという好循環を確かなものとすることが必要であるとして,神戸の魅力を生かしたプロジェクトや政策を積極的に展開していく予算として,全会計で1兆8,076億円,実質的に前年度より685億円,伸び率にして約4%増加した規模となっております。
 委員会は,去る2月24日の議案の付託を受けて以来,3つの分科会を設け,25日から3月6日まで局別審査,さらに11日には市長・副市長等に対する総括質疑を行いました。
 それでは,委員会審査において議論となりました主な事項について,簡単に御報告申し上げます。
 まず,市政全般に関するものとして,人材の育成,国際戦略の推進,広報・情報発信力の強化,外郭団体の監理,区役所の窓口サービスなどについての議論がありました。
 次に,施策別では,経済・産業・雇用に関して,医療産業都市の推進,神戸空港のコンセッション,神戸港の活性化,中小企業の競争力強化,市場・商店街の活性化などについて,福祉・医療・教育・子育てに関しては,障害者支援,生活保護,児童虐待防止,放課後児童育成施策,保育所待機児童の解消,中学校給食などについて,また環境及び安全・安心なまちづくりに関しては,環境教育,ごみの減量・資源化,防犯カメラ,災害時の情報提供のあり方,消防団の充実・強化,防災教育,土砂災害特別警戒区域等の指定,空き家対策などについて,さらに文化・集客・観光に関しては,神戸ビエンナーレ,外国人観光客の誘致,客船誘致などについて,さまざまな議論がありました。
 委員会では,このような審査の後,3月11日に松本のり子委員外7名から予算の編成替えを求める動議が提出され,翌12日には各会派からの意見表明を,13日には意見決定をそれぞれ行ったのであります。その結果,不要不急の大型開発,借上市営住宅の入居者対応などを理由とする反対意見もありましたが,委員会は,少子・超高齢化の進展による人口減少社会への対応や安定成長のためのプロジェクトをバランスよく盛り込み,神戸のまちが安定的に成長していく,輝ける未来創造都市の実現に向けた予算となっていると判断できることから,動議を否決した上で,平成27年度神戸市各会計予算及び関連議案,合計60議案については,いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に,委員会の要望事項について申し上げます。
 まず,医療産業都市の推進についてであります。
 神戸医療産業都市は,我が国最大の医療産業クラスターであり,iPS細胞を用いた世界初の網膜シート移植手術が実施されるなど,国内のみならず,世界に誇れるプロジェクトであります。優秀な人材を集積し,そこで創出される雇用によって,市民生活を支え,神戸を安定した成長に導いていくためにも,強力に推進していく必要があります。
 よって,当局におかれては,PMDAが立地する優位性を生かした製薬企業の集積や,スーパーコンピュータ──京を活用したインシリコ創薬の推進,介護・リハビリロボット等の機器開発への支援強化,国際医療交流の実現に向けた海外患者受け入れのためのワンストップセンターの設置など,医療産業都市の推進に積極的に取り組まれたいのであります。
 次に,子育て支援の充実についてであります。
 人口減少社会を迎え,ニュータウンのオールドタウン化などにより,須磨区が消滅可能性都市とされる予測までもが出される中,本市が魅力的な大都市として生き残っていくためには,誰もが安心して出産・子育てができるまちづくりを推進し,将来の神戸を担う子供たちを社会全体で育んでいくことが必要であります。
 よって,当局におかれては,民間活力の導入による保育所待機児童の解消や,開設時間の延長等による学童保育の拡充,児童虐待防止のための体制の確立など,子育て支援の充実に努められたいのであります。
 次に,神戸空港についてであります。
 国内外からの集客力を高め,市外との交流によって豊かな市民生活を実現するために,また神戸での開催が決定したラグビーワールドカップ2019などの国際的なイベントを成功に導くためにも,神戸の玄関口として神戸空港がより利便性の高い魅力的なものとなり,人・物・情報の交流の拠点として成長していくことが必要であります。
 よって,当局におかれては,神戸空港については,路線の維持と安定した運航の確保に努めるとともに,関西3空港の一体運用によるさらなる利便性と価値の向上に向け,コンセッションの準備には万全に取り組まれたいのであります。
 次に,文化の振興についてであります。
 神戸が選ばれるまちとなるためには,市民の文化・芸術の多様性,重層性をより一層醸成し,人の心と暮らしに潤いをもたらすことにより,都市の魅力をより一層高め,発信していくことが必要であります。
 よって,当局におかれては,市民の豊かな心を涵養するため,文化創生都市にふさわしい文化行政に努められたいのであります。
 また,国際的な位置づけも確立されている神戸国際フルートコンクールについては,継続を前提に,事業実施の手法等について検討されたいのであります。
 最後に,公共交通網の維持についてであります。
 少子・超高齢化の進展により,本市でも3年連続で人口が減少するなど,人口減少トレンドに入ってきておりますが,高齢者を初めとした地域住民が社会参加し,安心して暮らし続けられるようにするためには,公共交通網の維持が不可欠であります。中でも,神戸電鉄粟生線については,かねてより路線存続に向けた取り組みが行われており,より一層の施策の推進が求められるところであります。
 よって,当局におかれては,神戸電鉄利用促進パスについては,社会実験の結果を十分精査した上で,より利便性が高く,高齢者が社会参加できるような制度の構築に努められたいのであります。
 以上,委員会審査の経過及び結果並びに要望事項について,御報告申し上げました。
 終わりに当たり,委員会運営に終始御協力をいただきました副委員長,理事の皆様,並びに連日熱心な審査を賜りました委員の皆様に心から敬意と感謝の意を表しまして,報告を終わります。