2015.03.13 : 平成27年福祉環境委員会 本文


  (午後1時31分開会)
◯委員長(大井としひろ) ただいまから福祉環境委員会を開会いたします。
 本日は,議員提出第55号議案に係る審査のため,お集まりいただいた次第であります。
 なお,梅田委員より監査委員の公務のため,欠席する旨の連絡がありましたので,御報告申し上げておきます。
 最初に,写真撮影の許可についてお諮りいたします。
 民主こうべさんから,本日の委員会の模様を写真撮影したい旨の申し出がありましたので,許可したいと存じますが,御異議ございませんか。
 (「異議なし」の声あり)

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◯委員長(大井としひろ) それでは,許可することにいたします。
 また,本日は参考人に手話通訳が,傍聴者には手話通訳及び要約筆記が伴います。私もゆっくり発言するようにいたしますので,委員の皆様におかれましては,質疑の際はゆっくり発言いただきますよう御協力をお願いいたします。
 なお,本日は環境局の審査は予定しておりませんので,御了承願います。

(議員提出議案)

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◯委員長(大井としひろ) それでは,これより議員提出第55号議案神戸市みんなの手話言語条例の件についての審査を行います。
 なお,本日も教育委員会にも御同席いただいておりますので,御了承願います。
 最初に,議員提出第55号議案神戸市みんなの手話言語条例の審査の参考とするため,参考人としてお越しいただきました兵庫県立聴覚障害者情報センター所長,嘉田眞典様から御意見をお聞きいたしたいと存じます。
 嘉田様におかれましては,意見陳述をお願いいたしましたところ,御多忙にもかかわりませずお引き受けいただきまして,まことにありがとうございます。嘉田様には,手話言語条例の必要性について御意見を賜りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 次に,委員の皆様に申し上げます。
 嘉田様からは20分ないし30分程度御意見の陳述をいただいた後,各委員からの質疑を20分程度予定しておりますので簡潔に行っていただきますようお願いいたします。
 それでは,ただいまから意見陳述を聴取いたします。
 嘉田様,よろしくお願いいたします。

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◯参考人 今御紹介をいただきました県立聴覚障害者情報センター所長の嘉田と申します。よろしくお願いします。
 きょう意見を話す場をいただきましてまことにありがとうございます。
 私は聴覚障害を持っております。聞こえませんので声でお話することは難しいので,かわりに手話通訳者が読み取って変換して通訳をしております。皆さんの質問を声で聞いて,またそれを通訳が変えてお話しするようにいたします。よろしくお願いいたします。
 私は,県立聴覚障害者情報センターの灘区民ホールの2階に──そのフロアにおります。平成17年設立いたしました。身体障害者の基本法に基づきまして,それに伴い聴覚のセンター,聴覚障害者のコミュニケーション支援のため手話通訳者,要約筆記者,盲聾者に対する通訳養成・派遣,ほかの聴覚障害者に対する業務,手話の字幕をつけたビデオの作成などをやっております。県立のセンターは,県と神戸市と合わさった事業となっております。ほぼ10年を迎えようとしております。
 さて,言語条例についての必要性についてですが,それについて説明をしたいと思います。
 御存じのように,2011年,障害者基本法が変わりました。手話は言語であるということが認知されました。この障害者基本法に沿って障害者総合支援法があります。市町村に対して手話奉仕員養成事業や手話通訳者派遣事業,それから手話通訳者の設置を必須としています──そのことが載っております。神戸市におきましても,総合支援法に沿いまして事業をやっております。
 さて,言語には5つの権利があります。1つは言語を獲得する,2つ目は言語で学ぶ,3つ目は言語を学ぶ,4つ目は言語を使う,5つ目は言語を守る,日本語にはこの5つの権利がきちっと保障されております。しかし,手話の場合は,まだまだ日本語と比べてこのように保障されていないのが現状です。
 一般財団法人全日本ろうあ連盟は,この言語の5つの権利を手話にも保障することを求めて──国に対して求めている状態です。また,国に対して手話言語法の早期設立を求めて意見書の採択を求める運動をしております。都道府県の議会,それから市町村の議会,それぞれお願いをしております。2月の9日で全国の議会,ほぼ1,603の議会において意見書が採択され,神戸市は昨年の10月,議会で採択されております。私たちは,国のみならず──運動を求めているそれだけではなく,県または市,地域の公共団体に対しても手話を言語として認識し,県民・市民に手話を広めていくことを求めております。例えば国に対しては,手話言語法を制定させ──先ほどの言語の5つの権利がありました。きちっとつくっていただけるように国に対して要望しております。
 都道府県レベルでそれに対しまして,例えば県立の聴覚障害者情報センター,神戸の聴覚特別支援学校との連携をしながら県民に手話を普及する,そういう役割を求めております。市町村の場合,手話を言語として認識していただくこと,市民の皆様に手話を広めていくこと,聞こえない者が社会参加がスムーズにできる環境を整えてつくっていくこと,国レベル,県レベル,市の役割と分かれていると思います。
 全国の例といたしまして,鳥取県では先駆けて手話言語条例がつくられました。そのきっかけ,条例としてのきっかけ,そこから全国次々と条例が設立されております。
 篠山市においては,昨年12月,篠山市みんなの手話言語条例が採択されました。篠山市の場合は,3つの柱があります。それを打ち出しております。1つの柱だけではありません。言語としての認識,2つ目は聾者の社会参加を推進,それから3つ目は障害を持っている方々に対し,温かいまちづくり,この3つの柱を掲げております。つまり手話言語条例が制定され,障害者福祉の向上につながっております。その期待が込められております。篠山市は,4月から手話言語条例が施行されます。篠山市も市民が手話を学ぶ機会,手話を使う機会,広まっていくでしょう。
 そのように神戸市もみんなの手話言語条例という案があります。検討会の中で検討されて今まで来ております。神戸市の言語条例は,案としまして手話の認識,市民に対する手話を広めていく,また,事業者に対しましても手話に関する市の施策に協力するよう努めることを明記しております。また,学校教育の場では,手話を学ぶ機会の提供を明記しております。ほかでも手話通訳者の確保や養成,それから養成のための施策をやっていきます。手話はみんなのものです。市民が手話を学ぶ権利を持っています。ですから,この案も神戸市みんなの手話言語条例という名称になっております。
 全国の自治体,行政で手話言語条例の設定に向けて頑張って,その説明をさせてもらいます。
 手話言語条例設定という──その行政はどこかと言いますと,人口が少ない行政がまずありました。けれども昨年の12月,神奈川県の議会で手話言語条例が全員一致で採択されました。大きな県です。でもそこで採択されました。
 政令指定都市の場合は,全国どこもまだできておりません。ですから,今,神戸市が政令指定都市として全国に先駆けて条例をつくるという,それはすごい大きな意義があると思います。条例ができれば,後に続くほかの政令指定都市も神戸市を見習ってふえていくのではないかと思います。神戸市が手話言語条例をつくる,それは非常に大きな意味を持っていることと言えます。神戸市の手話言語条例にかかわる期待をお話しします。
 私は,今までみんなの手話言語条例検討委員会にかかわってまいりました。手話言語条例ができることによって,手話が市民・事業者に広まっていく,日常生活の場で聞こえない人がいる地域で手話を覚える,そういうことを通して顔の見えるつながりが生まれてきます。交流が広がります。そのことによって聞こえない人にとっては社会参加がスムーズにできるようになると考えられます。
 また,神戸市市議会で団体として,神戸ろうあ協会,県の聴覚障害者協会,また,私のおります県立聴覚障害者情報センターなど,また,それらを連携しながら手話言語条例を進めていこうと考えております。進めていくことによって市民が手話を学ぼう──神戸市の中にいるあらゆる場所で手話を通じて聞こえない人,市民のつながりが生まれてくると思います。
 また,聞こえないということ,手話に対する理解,手話の広まりをきっかけにして,さらにいろんな障害を持っている人,見えない人,車椅子の人,知的障害の方たち,そういう人たちに対する理解も広がっていくと思います。そのようなつながりができてきたらいいなと思っております。
 阪神・淡路大震災が起こってから20年たちました。20年前のことでした。その地震のとき,聴覚障害者,我々は情報が全くありませんでした。避難所へ避難しましてもコミュニケーションの壁にぶち当たりました。苦しい思いをしました。市民も聞こえない人がいるとわかっていても援助方法をどうしたらいいのかわからない,気がついててもわからないという状況で手が出せないという状況がありましたけど,言語条例が広まっていくことによって,今後もし大きな災害が起こったとき,やっぱり聞こえない人,市民ともに手話を通して手話がわからなかったら,筆談,身ぶり,ほかの手段を通してコミュニケーションをとり,情報提供し,お互いにコミュニケーションするという方法で助け合い,支え合いができるんではないかと思います。そういう期待をしております。
 災害のときの支援できるということは,聴覚障害者としては安心という──まずあります。災害時の安心ということにつながります。大きな地震が前にありました。20年前。だから,その手話言語条例をつくることの意義というのは大きなもんがあると思います。今後,手話を通して顔を見ながら顔の見えるつながりが広がっていくと思っています。ぜひ手話言語条例を認めていただきたいと思っております。
 以上で私の意見を終わります。

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◯委員長(大井としひろ) どうもありがとうございました。
 それでは,ただいまの意見陳述に対しまして御質疑はございませんか。