これから4年間の神戸づくり

 

 

「民」のチカラが神戸を変える

 

 

 

ローカルマニュフェストin神戸 2005

 

 

 

 

2005年7月29日

 

民主党神戸市会議員団 市政評価委員会

 

 

はじめに  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

T、矢田市政の4年間の評価 

1、    矢田市長公約の実現度      ・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2、    民主党議員団予算要望実現度  ・・・・・・・・・・・・・・・・・5

 

U、神戸市の現状−神戸市を取巻く状況と基本認識−  ・・・・・・6

 

V、次期市長に望むもの

1、    市長に期待する基本的姿勢    ・・・・・・・・・・・・・・・・・7

2、    5つの改革目標              ・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3、    具体的政策提言    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

(1)     協働と参画のさらなる推進

(2)     民のチカラの活用

(3)     行財政改善

(4)     高齢化社会への対応

(5)     神戸経済の活性化・再生、神戸空港の活用

(6)     健やかに、そして安心できる子育て環境

(7)     観光文化先進都市

(8)     環境先進都市

(9)     交通ネットワーク整備と都心ターミナル機能の強化

 

 


 

はじめに

 

 

平成13年10月、矢田市長は、「協働と参画」をキーワードとして5つのジャンルに70項目の公約を掲げて市長選挙に立候補しました。私ども民主党議員団は、矢田市長の政治姿勢、行政経験、そしてその公約に賛同し、民主党本部の推薦を通じて全面的に支援し当選を勝ち取りました。以来4年間、私ども民主党議員団は市議会与党会派の中枢を担って矢田市政を支えてきました。

矢田市政の4年間は、ますます進む少子高齢化、経済の高度化・ソフト化、グローバル化、価値観の多様化など神戸市を取巻く環境は大きく変わり、またあの震災から10年という大きな節目を迎え、まさに時代の転換期を経験した期間でした。その間、矢田市長は、財政再建緊急宣言、事務事業外部評価、行政経営方針など思い切った行財政改善に取り組み、震災関連の借金返済のピークを迎えるここ数年の財政危機を乗り越えようとしております。このことは高く評価できます。

しかし、これからの4年間はこれまで以上に急激に取巻く環境が変化することが予測されており、まさに時代を先取りして、これまで以上に大胆な政策を実行し改革を断行していかなければ激しい都市間競争や時代の変化を乗り越えていくとこはできません。そういう意味で、本年10月に施行される神戸市長選挙は、これからの神戸市の方向性を決めるといっても過言でない重要な選挙となります。

わたしども民主党議員団は、こういった認識のもと、将来の神戸市のあるべき姿、めざすべき方向性を明確にし、「ローカルマニュフェスト神戸2005」を作成しました。その中で、矢田市政で何ができて何ができなかったのか、この4年間をしっかり検証・評価し、今後4年間での市政全般にわたる具体的数値目標を設定しました。そして、その実現を目指して神戸市長選挙に臨むことといたします。

 

 

 


 

T、矢田市政4年間の評価

 

 

1、矢田市長公約の実現度

(1)「市民が主役のまち」の実現

 矢田新市長公約の大きな目玉であった市民が行政への参画を保障する条例の制定は、昨年「協働・参画3条例」の制定というかたちで実現しました。この条例は、震災で得た教訓を活かしたものであり、全国に先駆けた先進的な市民参加の手法であると評価できます。今後、例えば行政評価のための情報開示とその評価の市政への反映についての充実が望まれます。さらに、市民の方々からは市長の顔がなかなか見えないという声も届いており、「まちかどトーク」の充実など市民に溶け込む姿勢をさらに進める必要があります。

一方、14年に外郭団体評価委員会、15年には事務事業評価委員会を設置し、外部より行政の事務事業をチェックする仕組みを作りました。さらに、その結果をホームページ等で市民に公開し情報公開・説明責任を徹底させたことは大いに評価できます。今後は、その指摘された改善点を内部で前向きに検討し、できるだけ多くの事項を素早く実施に移す仕組みが必要となります。

 

(2)「安心してくらせる福祉環境のまち」の実現

「福祉の矢田」と言われるように高齢者・障害者を中心とした福祉政策は充実発展させてきました。交通バリアフリー基本計画や各種マニュアルを策定し、ユニバーサルデザインを積極的に導入しました。また、特別養護老人ホームの待機者解消に向けて積極的に取り組み、その入所方針は神戸方式として全国のモデルケースとなったことは評価すべきことであります。

また、医療面においては、先端医療センターでのPET検診、放射線治療、生体肝移植など先進医療の実施に加え、21世紀型の高度・効率型の新中央市民病院の基本構想をまとめあげたことは高く評価できるものであります。

一方、環境政策では、ようやく16年度より全市でゴミ6分別収集が実施され、また総合リサイクルセンターや環境未来館などがオープンするなど、循環型社会への転換を図ってはいますが、低公害車の普及率は他の自治体と比較すると大きなひらきがあり、また市民1人当たりのゴミの排出量およびその処理コストは他都市と比べても遅れは顕著であります。

「美しい街・神戸」を標榜するわが市にとって、環境問題への取り組みは、今後大きな課題として残っています。

 

 

(3)「こどもたちが伸びやかに育つ教育のまち」の実現

 子育て支援制度に関しては、保育所整備について待機児童ゼロを目指して毎年積極的に予算化を図り、2万人保育体制を確立するなど東灘区を中心に受け入れ児童数を大幅に増やしてきました。さらに、本年7月からは乳幼児医療費助成制度において県が助成制度を削減する中、無料入院を小学校終了まで拡大するなど市単独で医療助成の充実を図りました。

一方、学校教育においては,アクティブプランの積極的な取り組み、ゲストティーチャー制度や学校評議員制度など学校への地域の参加を促進するとともに、複数担任制の拡大やスクールサポーター制度の導入などきめ細やかな教育をめざしてきました。これらの取り組みは、我々議員団が予算要求などでも再三求めてきたことであり、また厳しい財政事情にあっても教育関連予算は充実発展させてきたことは大いに評価できるものであります。

今後は、学校現場の安全対策などに積極的に取り組む必要があります。

 

(4)誰もがいきがいを感じる「魅力ある文化のまち」の実現

 神戸は大輪田泊以来の国際貿易港都として多様な文化を育んできました。また、ジャズに代表されるように異国情緒あふれる文化の発祥の地として豊富な文化を蓄積してきました。

しかし、残念ながらこの文化資源を街づくりに十分活かされているとはいえません。歴史的建造物の保存・ライトアップや景観形成に取り組んではいますが、十分な成果にはつながっておらず、芸術文化活動の拠点としての評価も相対的に高いものにはなっていません。昨年末に策定した「神戸文化創生都市宣言」に謳っている趣旨に沿った活動の充実が必要であります。

また、神戸アスリートタウン構想など誰もが健康でスポーツに親しめる街づくりを目指して様々な施策を展開してきました。「神戸総合型地域スポーツクラブ」では地域が主体となってスポーツを楽しめる取り組みを推進してきました。また、「健康を楽しむまちづくり」では、健康をひとつのキーワードとして産・官・学・民連携による様々な取り組みを展開しようとしております。

しかし、震災復興の象徴でもあった市民球団・オリックス球団は、合併によって将来流出する結果となり、今後はヴィッセルの危機がささやかれる事態となっています。これは市民にとってかけがえのない財産の喪失であり、非常事態と認識しなければいけません。当面、市民を巻き込んだ応援体制を構築しプロ球団を盛り上げていく必要があります。

 

(5)働く能力と知恵が活きる「元気な産業のまち」の実現

 矢田市政公約の最大の目玉であった「2万人の雇用創出事業」については、目標年次である17年度には達成見込みとなっています。また、神戸経済の再生の鍵を握るプロジェクトである「医療産業都市構想」は、多くの中核施設、研究機関、オフィススペースが建設され順調に整備が進んでいます。

しかし、外見上は成果があがっているようにみえますが、市民所得や求人率・失業率などの経済指標は思いどおりには回復していません。また、1人当たりの市民所得にあらわれているように生活実態としても市民生活は回復基調にあるとは言いがたい状況です。

本年、「神戸エンタープライズプロモションビュロー」を創設し、積極的な企業誘致に乗り出したことは評価できます。今後、外資系を含んだ企業の動向を注視し、機敏な行動に出るなどさらに一歩踏み込んだ大胆な産業振興施策の実行が必要であります。

 


2、民主党議員団予算要望実現度

 毎年予算編成検討時、民主党議員団は市長に対し予算要望を行ない、市政全般に対し政策提言を行うとともに個別具体的な要請活動を行なってきました。

 その項目の予算反映度合いをみると、概ね共通認識に立ち、我が会派の要望を尊重していると言えます。しかし、例えば新神戸トンネルの料金問題など再三の要望にもかかわらずいまだ前進しない問題も多く存在しています。

 

(1)重点要望の中で実現・前進した主な項目

○ 神戸経済の再生・活性化について

       中小企業融資制度を充実させ、新しい産業が生み出される風土づくりへの支援として、「神戸ロボットテクノロジー構想」、「神戸ファッションフェスティバルの開催」等、新たな価値の創造につながる多種多様な挑戦企業への支援を強化しました。

       神戸医療産業都市構想の推進では、17年度263,706千円、4年間で9,056,329千円と、積極的な予算計上を行ない神戸の新たな産業育成として現在76社を超える企業誘致を行ない、産業クラスター形成の第一段階として順調に推移してきました。

○ 福祉の前進について

       高齢者福祉では、介護サービス基盤の計画的整備等に積極的に取り組み、障害者福祉においても小規模作業所の事業基盤の確立に向けて助成の拡充に努めてきました。

       子育てネットワークの確立された街づくりでは、保育所の整備を図り、さらに乳幼児医療費助成として本市独自の上乗せ制度を実施し、17年度から入院にかかる助成対象年齢を小学校6学年終了時まで拡大されました。

○ 神戸空港の事業推進について

   17年度の開港に向けて着実な整備を進め、積極的なエアポートセールス活動に取り組まれた結果、当初目標であった便数の就航も確保されました。

○ 安心安全なまちをめざして

地域コミュニティーへ支援の充実とともに、危機管理体制を強化されてきました。

○ 教育環境の充実について

次代を担う子供たちが、安全で安心して学ぶことができる学校園の整備を進め、特に学校の耐震化に取り組みが始まりました。

 

(2)前進していない主な施策・項目

     道路公社有料道路の料金の弾力的な運用 ・ 阪神高速8期の事業化、9期の都市計画化

     港湾事業の経営改善への取り組み    ・ ごみの減量化、資源化への取り組み

     神戸港の総合的な国際競争力回復    ・ 幼保一元化事業の推進

     地下鉄海岸線の沿線プロジェクト、イベント開催による乗客増、経営改善

     神戸の玄関口・三宮駅周辺のターミナル機能強化


U、神戸市の現状

―神戸市を取巻く状況と基本認識―

 

 今年、神戸はあの震災から丸10年を迎えました。その間、創造的復興を掲げて市民とともに街の建て直しを進めてきました。その結果、誠に残念なことですが復旧・復興の資金として2兆円程度の借金が発生し、その返済が現在ピークを迎え、硬直的な財政が余儀なくされ、将来への投資に充分資金を回すことができませんでした。

 そして、その間に時代は大きく様変わりしました。まず深刻な問題は、人口減少社会と本格的少子高齢社会の到来であります。2007年問題と言われるように、わが国は2年後に人口が減少へと転じるのと同時に団塊の世代が定年を迎えます。このことにより労働力人口の減少による税収等の減少、高齢化による福祉関連支出の大幅増加という傾向がこれまで以上に加速します。

 つぎに、グローバル化であります。著しい情報化の進展とともに、国内外の都市間競争は今後ますます激しさを増すものと思われます。もうすでに神戸でしか手に入らないものはほとんどなくなってしまいました。国際的な魅力や競争力をもたない都市は必ず衰退するという認識のもとで、神戸のアイデンティティを早急に確立しなければいけません。

 そして次に、環境問題であります。地球温暖化をはじめとする環境問題は、21世紀に人類が克服しなければけない最大の問題であり、環境に負荷をもたらす現在の経済社会活動は必ず全般的な見直しが求められてきます。この問題は残念ながら神戸市は先進都市と言えず市政全般に見直しが必要であります。

 また、人々の意識も大きく様変わりしてきました。量から質へ、画一的な目標から個性の追求へと価値観の変化、多様化が進み、拡大・成長を基調とした社会から安定・成熟型の社会へと移行するものと思われます。それに伴い、人々のニーズは、安全・安心や健康・生きがいといった基礎的な価値がこれまで以上に重視される世の中になってきます。

このように、時代が大きく変化しようとしている現在、神戸では復旧・復興などにより失われた10年を挽回すると同時に、激動の時代を先取りした諸制度の整備を行う必要があり、神戸にとってこれからの数年は将来に向けた市民生活の充実と都市としての持続的発展を決するかけがえのない時期を迎えています。

今後4年間は、このような時代認識をしっかり持って市政運営に携わらねばなりません。

 


 

V、次期市長に望むもの

 

1、市長に期待する基本的姿勢

時代の転換点を迎え、また神戸にとって本当の正念場を迎え次期市長の舵取りは本当に重要になってきます。その意味で、次期市長とは次の基本的認識を共有しなければいけません。

 

まず第一は、市民への発信力であります。震災の復興過程を通じて神戸の場合は産・官・学に民(地域・市民団体など)を加えた「自立と連帯」の精神が培われて、新しい市民主体の活動が生まれました。それだけに、それをさらに充実発展させるためには、市長の市民へ打てば響くような強烈なメッセージが必要であります。多くの市民が共鳴を覚え、そのことによって協働と参画への意欲を高めていかなければいけません。

 

第二に、大胆な改革意欲であります。いま市民は変化を求めています。いまの延長線上に明るい未来を描いている人は誰もいません。変化には必ず痛みが伴います。しかしその痛みを回避すればするほど深みにはまっていき、それがいまの閉塞感につながっているのではないでしょうか。しっかりした経営感覚を発揮して自由な発想を駆使し、守るべきものは守りながら、変えるべきものは信念をもって政治生命をかけても変えなければいけません。

 

第三に、強力なリーダーシップと強い使命感であります。時代が大きく変わろうとしているいま、市民はそつない行政手腕よりも時代を先取りした強力なリーダーシップを待望しています。過去のしがらみに捉われていたのでは将来の発展はありません。いくら強烈な発信力があっても、大胆な改革意欲があっても、それを実現していくパワーがなければ何にもなりません。肥大化した組織の中で、素晴らしいアイデアが埋没することなく迅速に対応するには市長のリーダーシップが何よりも重要で、そのことがいま最も求められています。一刻も早く神戸のアイデンティティを再構築し、市民に自信と誇りを甦らせなければいけません。

 

殻を破る、その先に明るい未来が必ず待っています。

 

 


2、5つの改革目標

 

神戸のさらなる飛躍を図り、市民のくらしを守り育てるために、次の5つの大きな改革を目標とします。

 

・民間あるいは女性助役の登用(幅広い人材の活用)

・外郭団体の大胆な再編成(民のチカラ活用の象徴)

・観光・環境先進都市宣言(神戸アイデンティティの再構築)

新たな2万人雇用創出、20万円所得向上、200社誘致(トリプル2作戦)

三宮改造、地下鉄海岸線改善、阪神高速ネットワーク化(都市アメニィティ)

 

 


3、具体的政策提言

(1)協働と参画のさらなる推進

   引続き「協働と参画」を市政の基本方針とするべきであり、安全安心の街づくりのためにふれまち等の自治組織の活用を拡充するとともに、幅広い人材の活用がこれまで以上に必要になってきます。市民へのその具体的メッセージとして過去ずっと役人が務めてきた助役のうち民間あるいは女性の登用を図ります。そのことによって市民と行政の距離がより短くなると同時に、民間的発想など様々な手法を市政に反映できることになります。

   さらに、市長と市民との対話をこれまで以上に充実させる必要があります。まちかどトークやタウンミーティング、政策提言会議や学長との懇談会などの開催回数を増やすことに加えて、メディアを活用し直接市長が市民に語り掛ける場を増やす必要があります。

<具体的目標値>

@    民間あるいは女性助役の実現

A    まちかどトーク・タウンミーティングの開催回数倍増とメディアの活用

 

 

(2)民のチカラの活用

これまで神戸市は、市バスの管理委託や公施設の指定管理者制度への移行など民間活力を積極的に導入してきました。しかし、公共のサービスを必ず行政の手でやらなければいけないことはなく、さらなる行政のスリム化と市民や事業者が主体となったまちづくりを目指して、これまで以上に民間活力の活用を図るべきであります。

例えば、地域の市民団体に駐輪場の管理を委託したり、ごみ収集の分別収集の徹底を図るため地域のパワーを活用し収集処理コストの低減と効率化を図るなど、地域のチカラを行政サービスに活かす手法をさらに進めるべきです。

さらに、民のチカラを活用する象徴として、市の外郭団体を大胆に見直します。外郭団体のあり方については市民の評価は厳しく、責任の所在の不明確と効率悪い運営は外部評価でも指摘されています。外郭団体として市が関与して行なう必要のない事業は大胆に民間に移行させ、同種の事業を別団体で行っている事業は統合を進めると同時に、シルバー人材の活用や観光振興などこれからますます重要になっていく事業は拡充するなど、大胆な再編成を実施すべき時期にきています。さらに、その団体のトップなどに民間人を積極的に登用するようにすべきであります。

 

<具体的目標値>

@          神戸市が25%以上出資、出損する外郭団体を大胆に再編成

A           外郭団体への、補助金50億円、委託事業費300億円、出向職員600人削減。

 

(3)行財政改善

  神戸市の財政は、17年度に久々に市税の増収が見込まれるなど明るい兆しは見えていますが、依然として起債比率が25%を超えるなど危機的状況に変わりはありません。さらに、今後の税収の動向は予断が許されず、矢田市長が掲げた行政経営方針のステップアップが必要になってきます。特に自然減を前提とした職員定数は、協働と参画の推進、官から民への転換が進めばさらなる削減は可能であるし、事務事業のあり方も外部評価を積極的に導入すれば再構築が進むことになります。

  また、市民から大いに注目されている市職員の福利厚生制度や特殊勤務手当については、労使の話し合いを基本としながら市民に理解が得られる制度への取り組みが必要であります。

一方、今後止めどなく膨らみ続ける福祉関連支出をこのまま維持すれば、早晩財政が破綻することは明らかです。市民生活を守り・育てるためには、重点政策に沿ったバランスのとれた財政支出を図らねなければなりません。そのためには受益と負担の見直しを進めることも必要になってきます。

さらに、いま積極的に推進している神戸市有地の売却等の入札・公募、通常の経理契約については、公正な競争が担保されるように透明性を高め、結果として市民の共有の財産が有効的に活用されるよう図るべきであります。

 

<具体的目標値>

@    行政経営方針のステップアップ

 

 

 

 (4)高齢化社会への対応

  これまで高齢者は社会的弱者として捉えられてきましたが、これからは社会を構成する重要な一員として捉え、これまで以上にその活用と参画を図るできであります。具体的にはNPO等を活用し地域に根ざした活動グループとして育成し、行政サービスのサポーターあるいは提供者として街づくりの主体となっていただくことが重要です。

さらに、障害者福祉についても、自立支援とうい視点をさらに進める必要があります。通所授産施設や小規模作業所などの施設や生活支援センターを充実させて、社会活動に参加する機会と地域での交流の場を提供することが大切です。さらに、自らが持つ能力を最大限発揮し、自立して生活できるよう就労支援策を強化する必要があります。

 

<具体的目標値>

@    高齢者のボランティア・NPO活動などに参加している割合25%以上

A    障害者雇用の法定雇用率1.8%達成

 

 

 

(5)神戸経済の活性化・再生、神戸空港の活用

神戸経済は、市内実質総生産など全体としてようやく震災前の水準に近づいてきましたが、ケミカルや清酒、製造業など伝統的産業は回復基調になく、依然として厳しい状況に変わりはありません。特に、神戸経済の根幹を支えてきた港を中心とした物流の落ち込みは激しく、構造転換とともに港の活性化は急務となっています。

矢田市政はこの4年間、医療産業都市構想の推進、パイロットエンタープライズゾーン設置、経済特区の認可、スーパー中枢港湾の指定などあらゆる手法を駆使して経済浮揚に努めてきました。しかし残念ながら景気動向の影響もあって思うような成果につながっていません。

間もなく神戸空港の開港という神戸経済においても市民生活においても大きなインパクトを迎えます。これが最後のチャンスだとの認識をもち、空港を最大限に活用しながら、各種インセンティブ策を駆使して地元経済界や県とも密接に連携し、「人・企業」の誘致を戦略的に推進しなければいけません。

特に、これからはその道のエキスパートとして先導している人材をどれだけ呼び込むことができるかで都市の価値が大きく左右する時代になってきます。特定の分野での「一流の人」を集積する「人材誘致基本計画」を策定し、新たな価値を創造する都市であることを広くアピールすべきです。

 

<具体的目標値>

@          新たな2万人雇用創出プランを作成し雇用環境の改善を図る。

A          1人当たりの市民所得を20万円アップさせる。(年収320万円程度・政令都    市中位以上目標)

B          新たな経営手法、技術革新に挑戦する企業を支援し、200社の企業誘致を実現する。

C          空港の24時間・国際化(当面は深夜12時までの運用延長)

D 神戸市内での起業化・開業率  10%

 

 

 

(6)健やかに、そして安心できる子育て環境

  歯止めがかからない少子化の流れの中で、子育て支援は今後ますます重要になってくることが言うに及びません。今後の都市の魅力のキーワードに「子育て環境の充実」が大きなウエイトを占めてくることを考えると、子育て先進都市としての地位を獲得することは非常に重要になってきます。

そのためには、乳幼児医療助成制度の維持、待機児童の解消に向けたさらなる保育所の整備とともに、幼保連携や公私連携による3年保育の実現等地域資源の活用により保育の選択肢を増やし、更なる保育サービスの充実を図る必要があります。と同時に、子育て講座やハンドブック作成など子育てに対する悩み等の相談窓口・メンタルケアを充実させる必要があります。さらに、いま社会問題となっているDV(ドメスチック・バイオレンス)については、特別なケア体制と地域の中で解決できる仕組みづくりが必要であります。

  また、小中学校では特色ある教育をさらに推進し学力を含めた質の高い教育を実現しなければいけません。さらに、いま問題となっている学校現場の安全確保に関しては、早急に対策を施す必要があります。

 

 <具体的目標値>

@    保育所待機児童ゼロの早期実現

A    学校へのスクールガード配置率100%

B    30人以下学級の実現

C     学校校舎の耐震化率100%

 

 

(7)観光文化先進都市

  観光に関する認識は最近大きく様変わりしました。観光は関連産業の裾野が広く、地元の経済、雇用、活性化に大きな影響を及ぼします。神戸はその立地環境、歴史、街並みなど観光資源に恵まれ、観光は21世紀の神戸におけるリーディング産業として期待されています。

  昨年2月、観光交流都市を目指し「神戸観光アクションプラン」を策定し、2010年観光入込数3,000万人を目標としています。将来にわたる神戸の発展のためには、この目標を最低達成ラインと位置づけ、そのための布石を着実に打っていかねばなりません。これからの神戸のアイデンティティは「観光とホスピタリィティ」であるとの認識に立ち、観光振興に大きな力を注がなければいけません。特に、新港突堤からハーバーランドにわたるウォーターフロントの再開発は、神戸の命運を掛けるくらいの意気込みで取り組む必要があります。

  また、観光振興を推進していくうえで、欠かすことができないのが芸術文化の振興です。まちの深みを作るのは文化であり、ジャズ・ファッション・洋菓子など神戸らしい文化の醸成に努めるとともに、既存施設の転活用に取り組み芸術文化活動の場の提供を積極的に行なう必要があります。

 

 <具体的目標値>

@    新港突堤からメリケンパーク、ハーバーランド、兵庫運河にかけての再整備による観光客20%増。

A    日帰り型から滞在型観光の転換により宿泊率30%の達成。

B    外国人観光客の50万人達成。

 

 

 

(8)環境先進都市

海と山に囲まれ自然に恵まれた神戸は、美しい街並みが大きなセールスポイントになっています。しかし、分別収集がようやく昨年から全市で実施されたことに代表されるように環境保持に対する行政の認識が残念ながら低いと言わざるを得ません。また、家庭系ゴミは1人当たりの排出量は政令都市ワースト1、処理コストも相当割高となっており、先述した地域のチカラを活用した分別収集の徹底やマナーの向上など市民を巻き込んだ取り組みが急務であります。

さらに、今後ますます増大する環境へのニーズを先取りした環境産業を育成・発展させることで、産業振興とともに環境分野での社会貢献を目指す必要があります。

また、最近大きな社会問題となっている「アスベスト問題」については、市民の健康を守り不安を解消するために、国に対し強力に要望を行なうとともに市単独でできる対策は早急に実施する必要があります。

観光交流都市を目指す神戸では、早急に環境対策の充実図らねばなりません。

 

 

<具体的目標値>

@          分別収集の徹底と資源化によるゴミの減量化・処理コストの削減

(1人当たり20%削減)

A          省エネ・エコ技術の集積をはかるためのフェアーの開催

B          公用車(市バス、ゴミ収集車含む)の低公害車化(低排出車除く)20%

C          CO2排出削減率90年度ベースで6%減。

D          環境会計を全庁で導入し費用対効果を把握し、今後の施策に反映させる。

 

(9)交通ネットワーク整備と都心ターミナル機能の強化

神戸空港の開港、医療産業都市構想の推進、ウォーターフロントの再整備などが進めば三宮を核とした特に南北方向への「ひと・もの・情報」の流れが活発化することになります。それに対応するためには、ユニバーサルデザイン化や三層ネットワーク化など三宮を神戸の玄関口に相応しいターミナルとして再整備する必要があります。

さらに、この神戸南北中心線から他都市へのアクセス機能の強化を進めるため、阪神高速道路を中心とした交通ネッワークを早急に整備しなければいけません。また、地下鉄海岸線の抜本的経営改善も進める必要がある。

 

<具体的目標>

@          三宮駅北側整備などを進め、三宮駅利用客80万人/日を達成。

A          県・市協調により、新神戸トンネルの阪神高速道路への移管達成。

B          阪神高速湾岸線8期の建設着工と9期の都市計画決定。